Cannes Lions 2016 Day3です。セミナーの数も増えていよいよ本番に突入した感じがします!今日から少しずつアワードも発表になりました。
開催初日から何度も出てくる”Storyteling”というキーワード。やや食傷気味ですが、いかにパーソナライズ/カスタマイズしたStorytellingをするかというのは今年の一つのテーマとなりそうです。
ライブ、ソーシャル、モバイル、ビデオという4つのコンテンツフォーマットは、世界的にもトレンドのようで、一つのStoryで生活者の心を揺さぶろうというのはもはや限界がきており、プラットフォームによってコンテンツをカスタマイズするのは当然の流れになってきています。例えば、Twiter, Facebook, Snapchat, YouTubeによって配信する動画コンテンツはカスタマイズするべきということですね。
正論としてはわかるのですが、現実的にはコンテンツをどうカスタマイズするのか、コンテンツの制作費用と配信費用のバランスはどうするのか(コンテンツをカスタマイズすれば制作費用は上がる)といった現実的な問題は残っており、現段階でその解は見えていません。また、プラットフォームに応じたカスタマイズと、多様な生活者セグメントからみたパーソナライズというのも実際にプランニングするときは異なる視点のようにも思います。
そうしたパーソナライズ/カスタマイズしたStorytellingというテーマとは別に、もう一つのテーマとして感じるのはフィジカルなブランド体験です。フィジカル(physical)とあえて付け加えたのは、パソコンやモバイルの前にじっと座って何かコンテンツを消費するというよりも、インスタレーションのような体感としてのブランド体験が一つのテーマになっていると感じたからです。昨日の2日目速報レポートに書かせていただいた「知覚としてのリアリティがブランド体験に繋がる」という話と同義なのですが、今日はテクノロジーを用いたフィジカルな体験の事例が2つ紹介されました。
一つ目はスペインのMadridで行われたデモ規制に対してホログラムを使ってデモを行った事例です。
Hologram Protest: Spanish activists hold hologram demonstration to oppose anti-protest law
二つ目はPepsiがARを使ってフィジカルな体験を提供した事例です。
Unbelievable Bus Shelter | Pepsi Max. Unbelievable
別のセッションでしたが、同じくARを使って子供達にルーブル美術館の絵画をスマートデバイスで見せる試みも紹介されていました。ただ、絵画の場合は繊細な色使いや見る角度による視覚性が人によっては大事な気がしますので、ARでどこまでリアリティが伝わるかは個人的に疑問に感じました。
テクノロジーオリエンテッドなものは、どのようなブランド体験を生活者に提供するのかといったコアとなるコンセプトがないとブレてしまうような気がします。セミナーの中では、生活者にとってこれまでにない体験を提供するBrand inspired contentと、既視感はあるがストレートにブランド体験を提供するBrand contentの違いや、バランス、広告主がBrand insprired contentでいかにリスクを取れるかといった議論もされていました。
その後、毎年人気だというRazorfishのGlobal CCOとContagious CommunicationsのDirectorのセミナーに参加。セッションタイトルは”Cracking the Code of Creativity”(クリエイティビティの基準にひびが入っている)で、趣旨はデータサイエンスでクリエイティブのあり方が変わってきており、クリエイティブのパターン化、トレンド把握、意味抽出ができるようになり、”Artificial Creativity”(AIを用いたクリエイティブ)という言葉も出ました。
内容はカンヌで受賞する作品の傾向を15年間分分析をしたものでした。分析手法は二値の相関分析で、例えば、エージェンシーの規模と受賞率の相関、クライアントとエージェンシーが取引している年数と受賞率の相関、エントリーに関わるエージェンシーの数と受賞率の相関といったもので、興味深かったものの、相関関係と因果関係は異なるので、こうすれば受賞率が上がるといった示唆にはやや乏しいように感じました。ちなみに、登壇したContagious社が出している専門誌はこちら。
Googleの元CEO、現AlphabetのExecutive ChairmanであるEric Schmidtさんがくるということで見にいったセッションでは、IPG Mediabrandsが米国ウォートンスクール(ファイナンスに強いビジネススクール)と組んで新しいブランドランキングD100を今日発表していました。ブランドランキングはダイナミックスコアと呼ばれる4つの指標でスコア化。4つの指標とは1)Agility, 2)Responsiveness, 3)Innovation, 4)Sociability。1位がGoogleだったのでエリック・シュミット氏がきたようです。
夜は下記の部門で受賞作品が発表。
本日受賞作品が発表された部門
・Promo & Activation Lions
・Print & Publishing Lions
・Radio Lions
・Direct Lions
・Glass Lions
・Young Lions Print Award
ゴールド・グランプリに絞って個人的に気になったものをいくつかご紹介します。
REI "#OptOutside"
米国で最も買い物される日ブラックフライデーにお店を閉めて外に出ようと促したキャンペーン。
米国で最も買い物される日ブラックフライデーにお店を閉めて外に出ようと促したキャンペーン。
ブラックフライデーネタということで、AMEXのSmall Business Saturdayを思い出すのは私だけでしょうか。
Small Business Saturday
The Field Trip to Mars
スクールバスが火星に行くという疑似体験をARで実現
#daddo
父が娘の髪を編む(=父と娘が一緒にいる時間が長くなる)ことで、娘が将来強い女性になりますよ、というPanteneが提唱する”Strong is Beautiful”のブランド体験を提供。
The Swedish Number
スウェーデンの代表電話番号を設置。電話するとスウェーデンに住む色々な人に繋がり、スウェーデンの良さを多角的に広めてくれる。国民の愛国心が重要。シンプルで素晴らしいアイディア。
スウェーデンの代表電話番号を設置。電話するとスウェーデンに住む色々な人に繋がり、スウェーデンの良さを多角的に広めてくれる。国民の愛国心が重要。シンプルで素晴らしいアイディア。
Dads #ShareTheLoad
洗濯はお母さんだけがやる仕事じゃないよね?という問題提起から商品パッケージに互いの洗濯する日を記載したアリエールのキャンペーン。
sugar detox
チョコレートでSugarを減らした商品ラインナップを複数提供。
日本ではできないと思いますが、今年のカンヌはこれでしょうというMcWhopper。寛容な社会かつ比較広告に対する抵抗がない文化だからこそできるキャンペーンです。
McWhopper
#WHOISTHEKING
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