2017年5月24日水曜日

ビルコムの社員数・男女比・平均年齢(2017年5月時点)


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「私が入社しても年齢的に違和感はないでしょうか?」

ここ一週間で中途採用の最終面談で3名(全員30代)の方々に聞かれた質問です。雰囲気的に若い人が多そうな会社というイメージを抱かれていらっしゃるようです。

そこで人事にお願いして、2017年5月時点の私を含む取締役・派遣社員を除く従業員の状況を教えてもらいました。

従業員数はちょうど40名で、平均年齢は31.7歳、男女比は4:6(16名:24名)で女性が多いです。年代別分布をみると、20代19名、30代15名、40代6名となりました。標準偏差は7.0歳。ちなみに私はこの数字に入っていませんが40歳です。

既婚率は37.5%、女性社員の産休・育休経験率は16.7%、時短勤務率は15.0%で40名のうち6名が時短で現在もお仕事をされています。

私自身は、年齢・性別・国籍など関係なくプロフェッショナル集団としての組織作りを意識していますが、現状はこのような状況になっています。

ということで、若すぎる組織でもなく、シニアすぎる組織でもないのかな、と思います。従業員数や売上高の規模で会社の優劣を決める時代はもはや終えていると思いますし、当社でも一人頭の生産性や顧客満足度を経営指標においています。

しかしながら、現在、業容拡大につきPRコンサルタント・エンジニア・アシスタント・クリエイティブ職にご興味ある方を絶賛募集しています!ご興味あれば是非オフィスに遊びにいらしてください。

エンジニア・プロダクトマネージャー職
http://recruit.bil.jp/

アシスタント職(パート社員)
https://www.b-stylejob.jp/job/detail/id=62182

キャリア採用(コンサルタント・クリエイティブ職など)

先週、産休・育休を取得していた西山さんも無事に復職されました!おめでとう【祝】


2017年5月19日金曜日

17新卒が研修から学んだこと


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4月3日から5月12日まで約1ヵ月強の17新卒研修を終えました。今週15日(月)の全社会議で17新卒の4人がそれぞれ研修から学んだことを述べました。

その学びは、ビジネスマンとして、PRパーソンとして、生涯大切にしたい内容だったのでここに記載したいと思います。各自のスピーチ内容を一部抜粋します。

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■北埜さん
いちばんの学びは「理想や目標を持ちながらも、日々目の前のやるべきことに集中する」ということです。どうしてもありたい姿や先のことに頭がいきがちですが、どれだけ理想があっても1を積み重ねなければ、100にはたどり着けないということ、「目の前の1にフォーカス」を研修で強く感じました。

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■土井さん
研修からの三つの学び:

1. 積極的に自分から聞き、学ぶこと
分からないことをそのままにしておく方がのちに迷惑をかけてしまうと学んだので、現場配属されてからは研修期間以上に自分から積極的に聞き、学びたいと思います。

2. 報・連・相の重要さ
入社してから学生の時と最もギャップを感じたことが「報連相の密度」です。上司や同僚への近況連絡、問題が発生したときの即座の報告、こまめなメール返信などをしっかりと行うことが相手との信頼関係につながることを学びました。

3. 目の前のことを一つ一つこなし、諦めないこと
研修中自分のできなさにへこむことが多々ありましたが、そこで諦めず食らいついていけばできないことも少しずつできるようになることを実感しました。今後困難に直面しても諦めないようにしたいと思います。

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■西尾さん
研修からの3つの学びを挙げます。

1つ目は「初心を忘れない」です。
研修期間、”学生感”が抜けていないというご指摘を多くいただきました。まだそういった部分は多いかと思いますが、少しでも早く、ビルコムの先輩社員の方々と対等に働きたいという思いを実現するために、マナーや挨拶、社会人としての心構え・初心を忘れずに日々成長していきたいと思います。

2つ目は「主体性」です。
ビルコムに入社して、皆さんから多くの刺激を受けました。気になったニュースを調べてみたり、話題の場所に行ってみたりすることも増えました。より多くの知識を得て、より多くのことを経験すべく、より多くの仕事に手を挙げて参加していきたいと思っています。

3つ目は「復習」です。
ビルコムでも常々言われているこの復習の重要性を、私は研修期間で強く実感しました。メモを取るだけではなく、自分に腹落ちさせるまで復習をすることではじめて次のステップを踏めるのだと感じ、基礎を身につけている今の期間を本当に大切にして復習を習慣づけていきたいと思います。

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■星さん
この研修期間で再認識したことは、やはりPRの仕事はインプットの部分も楽しいということです。大学で学んだ学問としての知識もいいですが、新聞などから得る情報は実社会の生きた知識ですからPRの勉強は世の中を広く深く知ることとリンクしていると思いました。

現場研修での学びは、3つのコミュニケーションを大切にしていくべきだと感じたことです。

一つめは、先輩方に「追いつく」コミュニケーション
二つめは、周囲と温度感を「共有する」コミュニケーション
三つめは、チームを「引っ張っていく」コミュニケーションです。

先輩方に「追いつく」ためのコミュニケーションとしてはビジネススキルとしての「分かりやすい」話し方で、具体的には「だれに、何を、どのように」というフレームワークや結論から話すことを徹底するといったことです。

二つめの「共有する」コミュニケーションは、良いことや悪いことがあったときにお互いに喜びあったり励ましあったりするコミュニケーションです。新規事業発表会のイベントに参加させていただいたときにチーム全体から熱気が伝わってきて、その温度感のようなものに自分もついていきたいと思いました。

三つめの「引っ張っていく」コミュニケーションは、まだスキルで先輩方に及ばない新人でもチームに還元できる価値として、「とにかく元気一杯でいること」しかないと思います。時には恥ずかしくてつい顔が赤くなってしまうこともありますが、その元気さにおいてチームを引っ張っていけたらと思います。
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いかがでしたでしょうか?

当然ながら、仕事は成果を出す場であって、学習する場ではありません。しかし、その成果はスキルだけでなく、仕事に向き合うスタンスや、持っている視座によって成果の大小が決まる場合がほとんどです。ビルコムの新卒研修は成果・スキル・スタンスの三つを鍛錬するものです。

仕事に向き合うスタンスや視座は、年齢や経験を重ねるごとに陳腐化して、いつの間にか小さなプライドとなって「成長を妨げる壁」となっていることが少なくありません。

私には経験がある。
私には肩書きがある。
私は年齢を重ねている。
だから、私はできる。

こうした小さなプライドが、素直さと謙虚さを失い、放埓な我流によって、キャリアの蹉跌をきたしてしまいます。

17新卒皆さんからの学びは、ミドルマネジメントが陥りがちな「成長の壁」を打破する本質的な言葉でした。ありがとう。


<チームプロジェクトの発表様子>

2017年4月3日月曜日

17新卒入社式式辞「新たな資本主義の幕開け」


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2017年度の新卒4名が本日入社しました。今日から研修が始まります。式辞では「経営者目線で仕事をしよう」ということを述べました。純正(Authenticity)、透明性(Transparency)、誠実(Integrity)というPRコミュニケーションに必要な要素は、まさに現代の経営を体現することでもあります。

下記は式辞で述べた原文です。

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2017年4月3日
2017年度新卒入社式 式辞
ビルコム株式会社
代表取締役兼CEO 太田滋

 皆さん、入社おめでとうございます。サンフランシスコでお会いした方もいれば、日本でお会いした方もいらっしゃいますが、数百名と非常に多くの方にご応募いただいた中、優秀な4名の皆さんをビルコムの仲間として迎えることができ、本当に嬉しく思っています。本日からの入社を心から歓迎するとともに、大いに期待しています。

 私たちが専門とするPRコミュニケーションは、いよいよマーケティングの主役となりました。市場はモノで溢れ、機能的価値で差別化は困難になり、企業メッセージを一方的に伝達する広告的手法は限界にきています。生活者の視点でみれば、多忙な生活の中でいかに豊かな時間を過ごせるかといった体験価値やコト消費に注目が集まっています。特定の人にしか使われていなかったソーシャルメディアは情報を流通させる上で必要不可欠な存在になりました。PRコミュニケーションによって、これまで見えなかったものが見えるようになり、より純正で透明性ある誠実な社会になりつつあります。換言すれば、不誠実で実態と異なるマーケティングは無意味になっているのです。昨年起こった数々の不祥事や炎上の根底にあるのは、不誠実さと制約なき利益の追求です。

 このような信頼と共感が重要な新たな資本主義の幕開けともいえる時代に、皆さんは社会人になりました。今日から皆さんが仕事をする上で、念頭に置いていただきたいことは「経営者目線で仕事をする」ということです。先ほど申し上げた、純正(Authenticity)、透明性(Transparency)、誠実(Integrity)というのは現代の経営そのものを体現する言葉です。私たちは、多くの企業の経営層や幹部の方々とお仕事をさせていただく機会に恵まれています。また、自社に目を向ければ、中規模のミドルベンチャー企業だからこそ、社長である私をはじめ、役員、事業部長との距離が非常に近い環境で仕事を進めていきます。新入社員という枠組みにとらわれることなく、自分がクライアントの経営者だったらどのような戦略を描くのか、自分がビルコムの経営者だったらどのように判断するかといった「経営者目線で仕事をする」という高い視座を忘れずに第一歩を歩んでもらいたいと思います。

 新しいPRコミュニケーションを生み出すビルコムへの入社を心からお祝いいたします。これから一緒に当社のビジョンである「世界をより感動できる社会」をつくってまいりましょう。おめでとうございます。


2016年12月22日木曜日

広報・PR効果測定ツールPR Analyzerを開始


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広報・PR効果測定ツール「PR Analyzer」のサービスを本日より開始いたしました。


ビルコム、テレビや雑誌の掲載状況を横断分析できるPR効果測定ツール「PR Analyzer」

ビルコム、広報・PR効果測定・レポートを自動生成するPR効果測定ツール「PR Analyzer」提供開始

ビルコム、クラウド型 PR 効果測定ツール「PR Analyzer」の提供を開始(MarkeZine)

人工知能で自社に関する記事の論調を分析、ビルコムが「PR Analyzer」を提供開始(ITmedia マーケティング)

ビルコム、広報部向けにクラウド型PR効果測定ツール「PR Analyzer」(マイナビニュース)

ビルコム、AIでPR効果を分析、メディア1万媒体から 戦略立案を効果的に(日経産業新聞の記事原文)


β版で既に20社以上のお客様にお使いいただき、改善を重ねてようやくリリースすることができました。関係者の皆様には大変お待たせしてしまいました。

今年のカンヌライオンズに参加させていただき、PR活動の効果はChange BehaviorやPerception Changeといった態度変容が大事と言われつつも、受賞作品のエントリー動画には、どれだけメディアインプレッションがあったのか、どれだけソーシャルメディアでシェアされたのかといった中間指標を定量的に出すものが多かったように思います。

PR活動の現場でも、広報・PR効果測定は、掲載数や広告換算費が用いられることが多いのが実態だと思います。その中でも、単に量を追求するだけでなく、重点媒体、論調分析、内容分類、SNS波及数、時系列比較といった質的な要素を考慮することも増えてきました。

今回、この広報・PR効果測定ツールでこだわったことは3点です。

1. クリッピング業務を徹底的に効率化
TV・新聞・雑誌・Web・SNS波及のクリッピングを自動化

2. PR活動の成果をきちんと把握
掲載数と広告換算費だけでなく7つの指標でPR活動の成果を把握

3. 手軽な価格でフルサービスを提供
初期費用ゼロ・1ヶ月から契約可能・月額10万円~でTV・新聞・雑誌・Webを全てクリッピングし、効果測定レポートまでを網羅




































また、技術的には独自の自然言語処理を用いて自動論調分析を実現し、いわゆる強化学習で個社の評価パターンを学習して精度を高める機能も実装しました。

広がるAIの活用、PR効果測定や小説作品分析で - WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース)





















15年以上PR業務に携わらせていただき、広報・PR効果測定は本当に奥が深く、明確な解が出ないものですが、今回のツールは実務的に使えるものとしてつくりました。例えば、見出しが同じWebの記事は自動でグループ化します。プレスリリースの転載記事やポータルサイトへ波及した同一の記事をまとめるといった細かい機能も作りこみました。

どれだけ高尚なことをいっても、結局はメディアの露出が求められるのがPRの世界で、そこから逃げてはいけないと思います。単なるパブリシティに意味はありませんが、きちんと露出の量と質を把握し、課題に対する目的を踏まえてPR活動のPDCAを回すことが求められているはずです。そのためのPR効果測定ツールであって欲しいと願っています。

企業の広報部や宣伝部のPRご担当者はもちろんのこと、同業のPR会社さんや、プレスリリース配信サービス事業者さん、クリッピング会社さんとの協業も進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

今なら30日間無料お試し登録も実施しています。
是非お使いくださいませ。
広報・PR効果測定ツール
PR Analyzer https://www.pranalyzer.jp/

2016年12月16日金曜日

広告業界は嫌われものになったのか。


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「太田さん、このままだと、みんな広告業界を嫌いになってしまいますよ!」

ある編集者から11月中旬にそう言われたことが忘れられません。その後、一連のまとめサイト問題、今週のテレビ局のステマ番組という記事。これ以上PR・広告業界が悪者になるのは耐えられないと思い、久しぶりにブログを書きました。

私は2009年に藤代さん(現・法政大准教授)や、徳力さん(現・アジャイルメディア・ネットワーク取締役CMO)、総合広告代理店やPR会社、メディアの方々と一緒に口コミマーケティングの業界団体であるWOMマーケティング協議会を立ち上げ、僭越ながら2年間、初代理事長を務めさせていただきました。PPP(Pay Per Post)なるステマブログを撲滅したいというのが動機でした。2014年からはJIAA(日本インタラクティブ広告協会)ネイティブ広告部会のリーダーとして、広告表記なしのネイティブ広告をなくしたくてガイドライン策定やセミナー運営に携わらせていただきました。本業はビルコムというPR会社で企業のマーケティングコミュニケーションを支援させていただいています。

本業以外に、私がこのような業界団体の活動に多少なりとも人生の一部を投じてきたのは、業界の悪者を懲らしめたいとか、消費者の不利益を生み出す仕組みを撲滅したいといった正義感だけではありません。私の目的は、口コミマーケティングやインターネット広告の市場を健全に発展させることで、当社も含む市場の全プレイヤーに経済的な利益を生む状態をつくるといった、経営者としては極めて合理的な判断に基づくものです。企業は営利を追求する組織だから、業界団体が営利を阻害する団体であってはならないというのが私の考えです。

では、なぜ口コミマーケティングやネイティブ広告のガイドラインを作ったのか。それは、利益を追求するという目的関数に対して、制約条件となるルールをつけなければ”継続性”が担保できないからです。

ルールなき利益の追求は破綻する。

ネイティブ広告のガイドラインを作る過程で、あるアドテク事業者の代表者が、「ガイドラインを作ってそれを強制するようになったら資本主義ではない」といった趣旨の発言をされていましたが、それは明らかに私の考えとは異なっています。資本主義を標榜するからこそ、制約条件といったルールを作る必要があり、そのルールがあるから企業は継続的に利益を出すことができる。制約条件なき利益の追求は自滅に向かっていくと思うのです。

利益を継続的に出していくためには、「目的関数と制約条件がセット」でなければいけない。

私がそういう考えを持つようになったのは、青山学院大学大学院国際マネジメント研究科(ABS: Aoyama Business School)に進学したことが大きいです。入学年は2009年。2008年9月15日に起こったリーマンショックの翌年で、MBAホルダーが制約条件なき利益の追求に走った結果、サブプライムローン問題を引き起こしたと欧米のビジネススクールに批判が集中していたときでした。

私は、2008年に「経営財務入門」という書籍に感銘を受けました。著者は井手正介先生と髙橋 文郎先生の共著で、経歴をみると二人とも青山学院大学ビジネススクール(ABS)の教授でした。この二人から指導を受けたいと思い、私はABSに進学することにしました。

井手正介先生の授業は「コーポレート・ガバナンス」でした。夏季集中講座のような形で、5日間毎日、数冊の課題図書が出され、課題に対する自分の意見を求められる非常にハードな授業だったと記憶しています。事前課題の一つに下記の設問がありました。

―――
設問:株式公開企業のガバナンスの2大構成要素は、収益責任(価値創造)の推進とコンプライアンス責任のまっとうにあると考えられます。わが国でも株主価値重視経営が急速に浸透し、同時に企業の社会的責任(CSR)の遵守を含むコンプライアンス機能の重要性も高まっています。しかしこれらの二つの機能は、どちらかを追求すればもう一つも自然に達成される「予定調和」の関係というよりは、あちら立てればこちら立たずの「トレードオフ」の関係にあることも多いと思われます。そこで、公開企業の経営者は、どちらを「主」に、どちらを「従」に位置づけて経営すればよいのか、迷うところです。収益責任とコンプライアンス責任の関係について、次の3つの中から一つを選び、その理由を300字前後で述べてください。 

① 収益(性)最大化が経営の目的関数で、コンプライアンス責任を全うすることはその ための制約条件の一つ

② コンプライアンス責任を最大限果たすことが経営の目的関数で、収益責任はそのための制約条件の一つ 

③ どちらも同時に最大化すべき目的関数 
―――

私はレポートにこう書きました。

―――
 私は「①収益最大化が経営の目的関数で、コンプライアンス責任を全うすることはそのための制約条件の一つ」を選んだ。

理由:
 企業が目指すべきことは、“継続的な”価値創造であり、その指標が収益最大化となる。収益最大化とは、売上や売上総利益などの規模を追求するのではなく、キャッシュフロー経営を前提とした株主価値の最大化である。しかし、短期的な株主価値(株価最大化)を追求すると、不正や癒着、放漫な情報開示が起こる。エンロン事件やライブドア事件などがその最たる例である。短期的な株主価値だけの追求を避けるためには、適切なモニタリングとディスクロージャーといったコンプライアンス責任が制約条件となる。企業が目指すべきことは、コンプライアンス責任を果たしながら、収益最大化を目的関数に置く継続的な価値創造経営である。
(292字)
―――

5日間の講義では他の受講者との議論、講義後は課題図書を読み、毎日レポートを出すということを繰り返して、最後のレポートには下記の総括を書きました。

―――
学んだこと(総括)
 コーポレート・ガバナンスは時代と共に、そのあり方が変わるものである。誰が、何を統治するかは社会的要請によって変わる。しかし、会社の構成要素である株主、取締役、執行チームが、共通の目的関数として継続的な価値創造を掲げ、各要素が単一機能を担うことは普遍である。株主(国民)は株主資本と人的資本を提供し、取締役会は株主のエージェントとして監視・監督機能を担い、執行チーム各ステークホルダーと共に価値創造に邁進する。プリンシパル-エージェント構造は重層に連鎖しながらも、1つの円で繫がっているのである。適切なガバナンス・システムを機能させるためには、その社会的前提であるAdam Smithの”Every individual endeavors to employ his capital so that its produce greatest value”の考えと「天職」に対する意識が浸透していなければならない。まとめると下図の通りになる。
―――
今年も多くのCMが炎上し、一部では不寛容な時代になったと言われています。法令順守以上のコンプライアンスに絶対的な基準があるわけではなく、その基準は時代の社会的要請とともに変わります。時代の社会的要請を察知し、自社のコンプライアンス水準を定め、ガバナンスシステムに組み込むことが、結果として企業が継続的に利益を出すことができると思うのです。

「経営財務入門」のもう一人の著者である髙橋 文郎先生の授業の一つに「ビジネスフィロソフィー」というものがあり、”この科目は、哲学・思想・社会科学等の古典との対話を通して、グローバルで活躍するビジネスパーソンに必要とされる幅広い教養や考え方を身につけるとともに、現代社会が直面する問題点について考察することを目的とします。”という趣旨で講義が行われました。

私はこの講義に触発されて、JIAAのネイティブ広告活動の初年度最後のセミナーオープニングスピーチに「ソクラテスの弁明」「国富論」「道徳感情論」「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」の一部を引用させていただきました。






利益追求の目的関数に対して、制約条件といったルールがなければ長期的にみて市場は崩壊する、といった持論はこうした背景から生まれたものでした。

しかし、業界団体の役割は新たなステージを迎えつつあると感じています。例えば、ステマ(スティルスマーケティング)問題。ステマの発端はブログでした。個人が企業から金銭をもらって提灯記事を書き、関係性の明示をしない。それは消費者を欺く行為として多くの企業や有名人が炎上して事業撤退や謝罪が行われました。ここでいうステマの対象は「口コミ」であり、「広告」ではありませんでした。昨年、週刊ダイヤモンドが切り込んだステマ問題は、広告会社やPR会社がWebメディアに対してお金を払う代わりに提灯記事を書いてもらい、広告表記を行わないといったもので、このステマの対象は「広告」でした。そして、今週の週刊新潮で記事になったステマの対象は「テレビ番組」でした。

同じステマの問題でも、口コミのガイドラインはWOMマーケティング協議会、ネット広告のガイドラインはJIAAといった業界団体の役割分担では対応しにくくなっているように感じます。ステマ問題は、ソーシャルメディア、ネット広告、テレビ番組と横串に発展していて、それぞれの業界団体が連携しながら、一つの問題に対処していかなければならないように思います。

今、私が問題意識を持っているのはインスタグラムマーケティングです。昨今、企業からのニーズは高く、多くの事業者が参入しています。現状のインスタグラムマーケティングのビジネスモデルは、フォロワー課金と言われるもので、インスタグラマーに投稿してもらうために1フォロワー5円前後の価格が設定されています。つまり、フォロワーが2万人いるインスタグラマーに投稿してもらうためには10万円程度を企業は支払います。関係性の明示は、ハッシュタグで#PRや#ADなどとつけていますが、たまについていないものも散見されます。

フォロワー課金そのものを否定することはできませんが、本質的な問題はインスタグラムのフォロワーは買えるということです。「インスタグラム フォロワー」などで検索すると、1ヶ月で1000人フォロワー増加!といった謳い文句で各種サービスが出ています。こうして増やしたフォロワーのほとんどは、BOT(機械)のフォロワーであって、実際の人間ではありません。実際にインスタグラマーのフォロワーを見れば、アイコンがない、投稿がゼロ、フォローされている人もゼロといったBOTフォロワーが存在することがすぐにわかります。つまるところ、企業は、偽装フォロワーに対してお金を支払っていることになるのです。実際に、インスタグラムのインフィード広告にも下記のような広告が出稿されています。
























一部の問題が取り沙汰されて、全体に疑義がかかる。真面目にコツコツとやっている事業者に「御社は大丈夫ですか?」と問いかけられ、説明対応に追われる。そんな不健全な状態でいいのでしょうか。建設的摩擦は業界発展のために必要ですが、敵をつくってPR業界や広告業界全体が白い目で見られることになっていいのでしょうか。

もっとPR・広告業界は楽しいものであったように思います。情理論で片づけるつもりはありませんが、一体何のために仕事をしているのだろうか。人生の多くの時間を捧げて世に何を残したいのでしょうか。その仕事は誰かの役に立っているのでしょうか。仕事という人生の大半を占めるものに向き合う姿勢や美学、ひいては一人ひとりの人生哲学に関わってきているような気もします。

ソロバンも大事だけれど、ロマンも大事。

利益を追求するという目的関数と、社会的要請であるコンプライアンスという制約条件をセットに考えて、市場を健全に発展させ、評論家の立場でなく、事業を通じて、自らが先頭に立って来年もより良い社会をつくっていきたいと強く思います。

つらつらと偉そうなことを書いてしまいましたが、私がこのように考えることができたのも、クライアントやパートナーはもちろんのこと、いつも一緒に仕事している社員や、業界団体の皆さん、同業界の仲間たちに支えられているからに他なりません。改めてこの場を借りて感謝の意をお伝えしたいと思います。ありがとうございます。来年も引き続きよろしくお願いいたします。