2013年2月26日火曜日

ロンドンで考える四つ目のメディア


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某グローバルクライアントの

All Agency Planning Meetingでロンドンにきています。

ちなみに初ロンドンです。



ホテルから望むテムズ川。手前は007 SkyfallでBondが泳いだプール。




今年はEMEA、Asia Pacific、EUの

全12か国のエージェンシーが一同に集結しました。


昨年までは、いわゆるトリプルメディアを中心に

コミュニケーションチャネルをプランニングしていましたが、

今年からはもう少し新しい発想で考えるようになっています。


打ち合わせの場では、

第四のメディアをCreative Mediaと呼んでいました。


Paid Media
広告メディアが中心だった1980年代。

Earned Media
ブログ・SNS・IMが台頭した2000年代。

Owned Media
企業が中立的な立場で自社メディアを
持つようになった2010年代。


今年からは、従来の枠やプラットフォームにこだわらずに、

もっとオープンなマインドで企業・エージェンシーが

メディアを開発する時代になるでしょう。

それをCreative Mediaとして位置づけたいと思います。


単なるBuzz wordをつくっても意味がありません。

私たちにとって大切なことは、

クライアントのゴールを達成するために

従来の枠組みや発想を超えて、

最適化されたチャネルをつくることにあります。


Paid, Earned, Ownedの形式にとらわれず

コミュニケーションチャネルを考えていきます。

それは、もはや

"Media"という定義を覆すことになるのだと思います。


皆さんにとってのCreative Mediaとは何でしょうか?

2013年2月18日月曜日

市場リスクはとらない方がいい


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ファイナンスの基礎で学ぶ理論に

CAPM(Capital Asset Pricing Model; 資本資産価格モデル)というのがあります。

この理論が教えてくれることの一つは、

個別リスクを回避して、市場リスクのみを取ることが

リターンの最大化を生むということです。

投資先を分散させてポートフォリオを組むのは

個別リスクを回避するためですね。


一方、私たち事業会社が、PR戦略を考えるときは、

市場リスクを回避して、個別リスクのみを取ることが

リターンの最大化を生むという

逆説的なアプローチになると思います。


例えば、当社はOkkruというソーシャルギフトサービスを運営していますが、

市場リスク=ソーシャルギフトサービスという市場が社会に受容されるか

個別リスク=Okkruという個別サービスが生活者に支持されるか

という二つのリスクを取っているわけです。

二つのリスクを抱えながら、マーケティング・PRを展開するのは

時間もかかるし、難易度も高い。



予算が年間十億円以上ある場合は別ですが・・・。


市場が飽和した製品・サービスで、よく当社にお声がけ頂く内容の一つに

「戦略PR」のようなことを展開したいと言われることが多くあります。

戦略PR=新カテゴリを創出した上で、自社サービスに落し込むこと

という定義でご要望を頂くことも多いのですが、

これは

新カテゴリ(=市場リスク)+自社サービス(=個別リスク)

という二つのリスクを

取っているので、不確実性あるPRのみではなかなか難しいのが現実です。


解決策の一つは、新カテゴリというこれまでになかったようなコンセプトや

市場を創出することを目指すのではなく、

従来の訴求軸を変えるというアプローチです。


これまで機能軸で訴求していたけれど売れなくなった。

これまでインセンティブ軸で訴求していたけれど響かなくなった。


というようなケースは、

まったく新しいターゲット層や市場を創出するのではなく、


機能軸から意味軸へ訴求を変える。

インセンティブ軸から情緒軸へ訴求を変える。


といった、「ちょいズラし」というアプローチで、

十分に需要喚起は可能になります。


営業段階で大風呂敷を広げたが、実際にやってみたら

話題化どころか、メディアにさえ取り上げてもらわず、

新カテゴリ創出もされず、自社サービスへの落とし込みさえできなかった・・・・

という事例をよくみますので、注意が必要です。


2013年2月8日金曜日

本質と抽象化のはき違い


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会議で、喧々諤々の議論を経た後に、

要点を端的に説明することで本質を掴んだ気になる場合があります。

しかし、それは本質ではないと思います。

単に、議論の各論を抽象化して総論化しただけ。


これは、クライアントワークのプランニングにおいても大事な視点。


○○のような方向性がいいんじゃないかと思うんですよ。

ソーシャルメディアで○○みたいな感じで口コミを広げていきたいですよね。


○○社のような企画ができないですかね。



「方向性」


「みたいな感じ」



「のような」



というフンワリとした状態で、議論がストップするとそこで思考が止まります。


抽象化された一言のコンセプトは、議論を集約する力を持っていますが、

そこで思考を止めて、なんとなくまとまった感で会議を終えてしまうと、

実際に動いてみた後に、色々なトラブルが発生します。


社内業務でも、社外業務でも、

仕事というのは、ディティールが大事であって、

そこに魂を込めなければ、結局具現化しないと思うんです。


視点を多面化するとか、

ポジティブモードから、ネガティブチェックを怠らないようにするとか、

現実的な時間、金、技術、人があるのかなど、

考えれば、考えるほど、アイディアを具現化するのは難しいことばかり。


そのディティールを考え抜いた結果、シンプルなものがみえてくる。

それが本質であって、ディティールを考えない要約は、

単に言い換え、もしくは抽象化しただけなのです。


私たちの仕事は、評論家ではなく、あくまでアイディアを具現化することなので

ディティールを考え抜き、それを地に足をつけて這いずり回るくらいの覚悟

仕事に向き合いたいものです。