本日からCannes Lions 2016に参加しています。実は初参加です。
会期が8日間もあるので忘れないように簡易レポートを作成しようと思います。セミナー内容をそのままレポートするものは多くあると思いますので、私なりの考察を交えてのレポートということでご了承くださいませ。それでは本日Day1の簡易レポートから。
“Create PRable Story.”
by Pete Mountstevens at Taylor Herring
「第三者にシェアされるストーリーを作ろう。」初日はこの言葉に象徴されるセミナーばかりでした。PRableというのは、PRされる(=記者やインフルエンサーといった第三者にシェアされる)という造語ですが、従来から重要性が語られてきたPR視点におけるStorytellingの話が多い初日でした。
背景には、広告嫌いの生活者が増えていることがあります。カンヌでは明確にこの話が出ていました。84%の人はTV CMを早送りしているし、60%の人はTVCMを録画したくないと思っている。20%の全世界のスマホユーザーがアドブロックアプリを使っている。ほとんどの生活者はブランドのロゴが見えなくなっても気にしない。生活者にとって意味のあるブランドは少ないということですね。
セミナーでは、Earned Media(パブリシティ・ソーシャルメディア)におけるクリエイティブなミレニアルブランド(1980〜2000年ごろに生まれたブランド)TOP5が紹介されました。#5 Uber, #4 Airbnb, #3 IKEA, #2 Red Bull, #1 Pornhub。
水中でも眠れる部屋を貸しますというストーリー。こちらのニュースもご参考ください。
IKEAのオーダーメイド家具をビルボードで表現。
Red Bullの"Risk Take"は有名ですね。
Pornhubの事例はこちらもご参考ください。
Storytellingには二つあると思います。フィクションとノンフィクションのストーリー。数年前に重要性が語られていたStorytellingは、どちらかというとフィクション的なストーリーが多かったような気がします。いかに感動させるか。いかに笑わせるか。それをブランド文脈に沿ったフィクションでつくっていく。今はノンフィクションのストーリー、つまりそのブランドが持っている”ファクト”に基づいてストーリーをどう作るかが重要になっています。透明性。一貫性。ブランドが持っているファクトをどう見つけるか。ファクトをどう演出するか。そして、そのファクトをどういう文脈に乗せて伝えるのか。それがPRable Storyです。
例えば、ファクトをつくる一つの方法としてギネスを獲る方法があります。本日のセミナーでは自動車のJaguarやHyundai、LG、Weetabix、Panasonic、Intelがブランドのファクトをもとにギネスを獲ってPRした事例が紹介されました。
ギネスを獲るために必要な5つの視点:
その中でもLGとIntelの事例が秀逸だったので紹介します。
LGの洗濯機の静寂性を訴求するために、洗濯機の上にトランプを積み上げてギネスを獲った事例。
Tallest house of cards in 12 hours - Guinness World Records
Intelはテクノロジーの体験を提供していることを訴求するために、オーケストラの音色と合わせてドローンを同時に100台飛ばした事例。とても美しい。
Drone display sets world record for most UAVs airborne simultaneously
本日最後のセミナーにはマジシャンのDavid Copperfield氏が登場しました。タイトルは”Making Magic: The Art of Illusion in Modern Brand Narrative”とマジックとブランドストーリーをつなげるやや強引な感じは否めませんが、「いかにシンプルなアイディアに仕立てるか」、「見る人との関係をいかに築けるか」、「(擬似)体験でいかに人を引き込むか」といったStorytellingのヒントになるような内容が多くありました。
セミナーでは幾つかのマジックをお披露目していただき会場内の人々は大興奮。
以上みてきた通り、初日は”Create PRable Story”の重要性を改めて感じる一日でした。ファクトを見つけ、作り、それを生活者の関心ある文脈(Context)を踏まえてシンプルなアイディアで伝える。それは生活者にただ迎合することではありません。ブランドとの関連性(Brand relevant)がなければ単なるオモシロコンテンツで終わってしまいます。ただ、一つ確かなのは、機能的にも、情緒的にも、生活者の役に立たないブランドはいずれ死んでしまうのでしょう。
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