2016年1月1日金曜日

2016年年頭ご挨拶:戦略PRはサイエンスの時代へ


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謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

「ヒットが出ない。」そう言われて久しいです。少子高齢化、価値観の多様性、コモディティ化(市場の成熟化)が進む中で、昔と比べてヒットが出ないのは必然でしょう。

そのような中で、当社は、ブランディングを目的とした戦略PRやデジタルマーケティングのお仕事をお客様から預からせて頂いています。ある意味で「ヒット」をご期待頂いている面もありますが、マスに受けるヒットは出にくく、ヒットが出たとしても、それは単に一過性の流行を生み出し、消費させるという近視眼的なプロモーションです。

これまで、私たちPR会社の仕事といえば、ヒットを生み出すべく、新しい社会記号をつくった上で商品に落とし込む、いわゆる戦略PRを必死になって工夫・改善してきました。しかし、自己否定するようですが、この手法に限界がきていると言わざるを得ません。消費者行動やメディア接触行動、情報波及構造が多様化している社会において、一つの大きなコンセプトや社会記号で世論を動かすことは非常に難しくなりました。

昨年から当社は、PRサイエンスという事業コンセプトを掲げて、デジタル・データ・人工知能という三つの領域に投資をしてまいりました。TF-IDF値を用いた特徴語句抽出や、オウンドメディアやコンテンツの質的評価指標の整備、ソーシャルメディア波及も踏まえた新たなPR効果測定、Word2Vecを使った自然言語処理や、機械学習の教師データ整備やインフラ構築といったものです。

デジタル・データ・人工知能の三つの領域に投資を進めてきたのは、初期に定めた大きな一つのコンセプトや社会記号でメガヒットを狙う博打的なPRではなく、データと人間の感性クリエイティビティに基づき俊敏に戦略を改善していくPRの方がお客様にとって長期的なブランディングになると気付いたからです。

年末に「年輪経営」という本を読みました。創業以来48年間、増収増益を続けている伊那食品工業の塚越会長が著された本です。その本には「経営とは遠きをはかること」の重要性が説かれていました。「今が良ければ良い」「数字が良ければ良い」という数字至上主義、近視眼的なゴールを追求することで会社の永続性が失われていくという内容でした。また、「人の犠牲の上に立った利益は利益ではない」ということも説かれていました。数字至上主義、近視眼的なゴールを追求することで、ステークホルダーの誰か(顧客、パートナー、社員、株主など)を犠牲にしたゼロサム的な歪みのある経営になるということです。会社の経営だけでなく、今の広告・PR業界に通ずるものがあるなと思い、はっとさせられました。

当社は2016年もデジタル・データ・人工知能を活用し、より付加価値の高い戦略PR・デジタルマーケティングをお客様に提供してまいりますが、それは単に一過性のヒットを作り出すためではなく、一過性の数字を上げることでもなく、永続性あるブランドづくりに貢献したいという思いで凡事継続してまいります。

遠きをはかり、永続性ある社会、市場、顧客への貢献を目指して、本年も社員一同、一枚岩となって努力を重ねてまいります。皆様のご多幸を心からお祈りいたしますとともに、弊社に対してもご指導、ご鞭撻の程を何卒宜しくお願い申し上げます。

最後に「年輪経営」にも掲載されていた二宮尊徳の言葉を引用させていただき締めくくりたいと思います。

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遠きをはかる者は富み 近くをはかる者は貧す。それ遠きをはかる者は百年のために杉苗を植う。まして春まきて秋実る物においてをや。故に富有なり。

近くをはかる者は 春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず。唯眼前の利に迷うてまかずして取り 植えずして刈り取る事のみ眼につく。故に貧窮す。

二宮尊徳

意味:
将来を計画する者は富み、目先のことだけを考える者は貧す。将来を計画する者は100年後のために杉の苗を植える。まして、春に植えて秋に実る物は当然である。だから富んでいる。

目先をのことだけを考える者は、春に植えて秋に実る物さえも遠い将来のことだとして植えることさえしない。ただ目の前の利益に迷い、蒔かないで収穫し、植えずに刈り取ることのみに目をつける。だから貧窮する。
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