Cannes Lions 2016最終日。注目を集めるIntegrated, Titanium, Film, Film Craftの4部門が発表となりました。セレモニーが始まる2時間前からこのような行列です。
Titanium部門の受賞作品5つをご紹介します。
1) #OptOutside/REI
Titanium部門とPromo&Activate部門でグランプリ。Integrated部門・Direct部門・Cyber部門の3部門でもゴールド、PR部門やMobile部門でシルバーと多くの部門にわたって受賞しています。消費者行動のアンチテーゼを突いて人々を行動に促したキャンペーンに誰もが驚きました。
2) McWhopper/Burger King
Titanium部門受賞。Media部門とPrint and Publishing部門でグランプリ。Integrated部門・Promo&Activate部門・Direct部門ゴールド。噂によると自主プレから始まりExecutionするのに18ヶ月かかった企画だとか。NYTの全面広告がソーシャルメディアで拡散してスタート。
3) The Swedish Number/Swedish Tourist Association
Titanium部門受賞。Direct部門グランプリ、Cyber部門とMobile部門でゴールド。みんながスウェーデン好きになったはず。
4) Brewtroleum/Heineken
Titanium部門受賞。Outdoor部門グランプリ。Media部門・Promo&Activate部門・Direct部門でゴールドです。最後の"Where're you going?" "To save the world!"は流行語になりそうです。
5) The First Ever Pinterest Yard Sale/Sherwin-Williams
Titanium部門受賞。Integrated部門でシルバー。米国オハイオ州にある塗装会社のフォトジェニックなソーシャルメディア活用が秀逸。
以上がTitanium部門の受賞作品でした。
Film Craft部門では改めて気づかされたことがありました。それはブラインドブランド(=ブランド名を伏せたと)しても、そのブランドであることがわかるか、そのブランドでやる意義があるかということです。現場でプランニングするときも、よくクライアントから「それって当社がやる必要がありますか?」と指摘されることがあります。結局、何かの作品を模倣したり、VRやARといった流行のテクノロジーを使うだけでは、真にそのブランドの魂を触りにいっていないので、そのブランドでやる意義がないわけです。
ブランド名を伏せて、その企画が競合ブランドでも通じるようなものだとしたらそれは単にオモシロ企画だったり、流行に乗った表層的な企画なのです。Film Craft部門では、そのブランドだからこそやる意義があった!というような作品が多く受賞していたのが印象的でした。幾つか作品をご紹介します。
Close to Home/AT&T
運転中のスマホがいかに危険かをキャリアが啓発。
Under Armour Phelps/Under Armour
オリンピック水泳選手金メダリストを起用した映像。Rule yourselfというアンダーアーマーのタグラインをビジュアル化。Film Craft部門のグランプリ。
Under Armour USA Women's Gymnastics/Under Armour
同じくアンダーアーマーの女性の体操選手を起用した映像。Rule yourselfをvisible storyにしたもの。
SONY TKO/Sony Action Cam
ソニーのアクションカムならではの映像。ドラム音との調和が素晴らしい。
こうしてみるとFilm Craft部門は、non verbalな映像だけでブランドリアリティをストーリー化したものが受賞しています。AT&Tやアンダーアーマーはauthenticityなものだからこそ心が動かされるのです。
Film部門はグランプリ受賞作品をご紹介します。
Shoplifters/Harvey Nichols
万引きの損失が510Mポンドまで増えている事象に着目し、高級デパートHarvey NicholsがCCTVで撮影した実際の万引きした人たちの映像を公開。同時に、買い物をするとポイントがもらえるアプリをリリース。ショーウィンドウに「この商品を万引きすると起訴されるけど、買い物したらポイントもらえるよ。」というPOPを置いたアプリのキャンペーン。こちらもauthenticityな作品。
AT&Tも、Harvey Nicholsも、昨日ご紹介したLMG Insuranceも自社事業に対する逆説的な事象に着目したところが素晴らしいと思いました。AT&Tであればスマホをもっと使って欲しいところを使うべきではないシチュエーションに着目し、Harvey Nicholsは買うという行為に相対する万引きという事象に着目、LMGはイヤホンによる事故を減らすことに着目しています。
Safe&Sound Music Player
最後に8日間のカンヌライオンズ2016に初参加して少し悔しい思いをしました。それは日本からの受賞が少なかったからです。南米や北米の受賞が目立ちました。
各部門のグランプリ発表の前に審査委員長がなぜその作品がグランプリになったかを説明するのですが、「bravely(勇敢な)」「couragouse(度胸のある)」という表現がよく出てきていました。個人的に今の日本は"不寛容な社会"だと感じていまして、私たちがつくるブランドコミュニケーションで、もっと深刻な(profound)テーマや大胆な(bold)アイディアが評価される寛容な社会にしていきたいと思いました。
日本が受賞できるように当社も頑張ります!速報レポートを読んでくださった皆様ありがとうございました。
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