2013年4月21日日曜日
黒よりもグレーが美しい
「美しいものは明確に言語化できない曖昧なもの。」
とある人から昔言われて、また最近この言葉を思い出しました。
確かに、はっとする大自然の美しさや、
美術館で息を飲むような作品をみたときは、
その印象を他者に言語化して説明することは難しかったりします。
ビジネスの現場に置き換えると、
ものごとを二項対立で考えないということだと思います。
白か黒かどちらかを選ぶのではなく、最適なグレーを追求する。
ORの対立で考えるのではなく、ANDの視点で行動する。
組織規模もある程度になってくると、
経営 or 現場
クライアント or 自社
上司 or 部下
などとORの二項対立でものごとを捉えがちです。
特に、
会社の方針 or 個人のキャリア
という二項対立で考えてしまうのは本当にもったいないことです。
会社に所属していたら自分のやりたいことはできない、
自分を犠牲にして会社に貢献する、
というような考え方は全てORの対立で考えてしまっていて
個人にとっても、その会社にとっても良い結果は生まれません。
二項対立の考え方は、視座を少しだけ上げることで解消します。
現場があるから経営があり、経営があるから現場がある。
クライアントがいるから自社が存在し、
自社が存在するからクライアントがいる。
上司がいるから部下がいるし、部下がいるから上司がいる。
組織に貢献するから、個人のキャリアが成長する。
結局、全ては繋がっているのです。
だから、一見相反する事柄でも、視座を上げて考えることで
ANDの両立が図られます。
こういうと、
「戦略には選択と集中が必要。
だから曖昧な両立は排除すべき。」
というような意見も出ると思います。
戦略に選択と集中が必要、という考え方は、
ポーターの戦略論で言われたことですが、
そのポーターでさえ、
選択と集中を行えば戦略になるとは言っていないのです。
ポーターの論文「What is strategy?」では、
確かに選択と集中というトレードオフの重要性が書かれていますが、
それはポジショニングの話であって、
"Strategy rests on unique activities."
という章見出しにもある通り、
企業内の諸活動をFITさせる(=一貫して両立させる)
ということがこの論議の本質です。
これはよく勘違いされるテーマだと思いまして
最後に付け加えさせてもらいました。
2013年4月14日日曜日
仕事には笑いが必要
ビルコムでは、経営チームで2週間に一度、
「居酒屋アジェンダ」と称して、各自が話し合いたいテーマを出し合い
飲みながら話す文化があります。
飲みながら話す文化があります。
先週の居酒屋アジェンダで今のビルコムに足りないことは何か?
という話になった際に、ぽろっと
「笑いじゃないかな」と意識せず発言していました。
仕事は、目標に向かって真剣に努力を積み重ねて、
それなりのハードワークで日々を過ごすことになりがちです。
そのような中でも「楽しむ力」が必要のように思います。
「楽しむ力」というのは、
その人の性格や人柄に依存するのではなく、
意図的にやることで楽しさを誘導するものです。
自分で選んだ職業だから・・・
好きなことをしているのだから・・・
だから、楽しいというのは錯覚で、
やはり、
仕事にはやる気やモチベーションの波というものがあります。
自ら仕事を楽しくしていくためには、
一日のどこかで笑いを入れる。
笑いがあるのと、ないのとでは
内部のチームワーク、外部とのリレーションも
質が異なってきます。
毎日の仕事の中で笑いを生み出すのは
意外に難易度の高いマネジメントですが、
日々意識してみようということになりました ^_^;)
2013年4月9日火曜日
エージェンシーで働く人の大罪
26歳でPRエージェンシーを創業して今年で10年が経ちました。
マーケティングコミュニケーション領域の動向は変化が激しく、
さまざまなツールが生まれては消え、
さまざまなコンセプチュアルワードが流行っては消滅していきました。
エージェンシーで働いていると、
「知らなければいけない」という衝動に駆られて
ついつい、それらのツールなりバズワードのブームに
乗っかって”専門家らしく”いるべきだと考えがちです。
でも、クライアントや生活者はそこまで大きく変化を求めていない。
エージェンシーで働く人たちは
そこに気をつけなければいけないと思うのです。
マーケティングPRと戦略PRの違いは何か?
WebPRとデジタルPRの定義は?
コンテンツマーケティングとインバウンドマーケティングの違い?
インフルエンサーとアンバサダーは何が違うか?
クライアントや生活者にとってそんなことはどうでもいい。
そのエージェンシーにとってのポジショントークも、
差別化の可視化も、概念の本質論も、どうでもいい。
大事なことは、
クライアントゴールにどれだけ寄与するのかどうか。
エージェンシーは、クライアントがいてこその存在。
クライアントにとって真のパートナーとして
短期・中長期のゴールに貢献できるかが問われているだけ。
業界はどんどん複雑化しています。
情報還流構造も複雑化しているし、
PR・広告の手法も複雑化している。
戦略・企画・実行すべてのフェーズで
アウトプットの出し方が複雑化しています。
だからこそ、自己都合を
クライアントや生活者に押し付けないように気をつけたい。
もっとシンプルに、わかりやすく、
コミュニケーションを設計しなければならない。
Attractiveに、Clearで、SimpleかつWordlessに設計する。
クライアントや生活者がわからないことは悪だと思わなければならない。
手段は変化するが、目的は変化しない。
自戒も込めて、最近思うことを綴ってみました。
2013年4月6日土曜日
組織力には志と行動様式の統一が必要
社外への折衝が強い人もいれば、
社内でリーダーシップを発揮する人もいる。
新規の開拓を得意とする人もいれば、
既存案件の対応を得意とする人もいる。
価値観伝達がうまい人もいれば、
スキル伝達がうまい人もいる。
合理的に進めることがうまい人もいれば、
情理的に物事を進めることがうまい人もいる。
組織力を高めていく際に、
同じ評価軸で個人を判断する必要はないなと
つくづく思います。
それは、個性がひとりひとり違うから。
組織力を高める上で大切なことは、
志と行動様式が統一されているかどうか。
志や行動様式が異なってしまうと、個性は噛み合わず、
ばらばらの方向に向かってしまい、
組織成果は生まれないと思います。
1+1=2にさえならない。
裏を返せば、
個性を活かすためには志と行動様式が同じでなければ
なりません。
当社の志・行動様式は
「企業理念」、「社名の由来」、「ビジョン」、
「行動指針」、「ビルゲン」
という5つの項目でまとめられています。
2013年4月1日月曜日
生きるか死ぬかの失敗をして欲しいという入社式式辞を述べました
本日入社式を行いました。
入社式 式辞 |
式辞では「生きるか死ぬかの失敗をして欲しい」と述べました。
もちろん、失敗をして欲しいという趣旨ではなく、失敗した!と思えるくらいの挑戦をして欲しいというメッセージです。
式辞の一部を抜粋します。
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皆さんに一つ伝えたいことがあります。それは、ビルコムで生きるか死ぬかの失敗をして欲しいということです。失敗は、挑戦者しか味わえない最高の経験です。
もし、ビルコムが成長を目指さず、業界を変えようとせず、世界唯一のコミュニケーション企業という壮大なビジョンを掲げていなければ、これまでの成功も失敗もありませんでした。それでは、ビルコムが世に存在する意義はない。失敗をするということは、ギリギリの限界に挑戦しなければ起こらないことです。プロフェッショナルこそ、厳しい事態に直面し、修羅場をくぐるべきなのです。それが間違いなく、皆さんの血となり肉となります。人間というのは、それほど強くなく、勝ったときには何も学べない生き物です。負けてこそ、真剣に物事を考えるようになる。どん底に落ちてこそ、自分の愚かさを真剣に見つめることになる。
失敗の体験がなければ、ストレス耐性や胆力も身につきません。歴史上の人物で、負け戦を経験したことがない人間は一人もいません。むしろ、負け続け、辛酸をなめ続け、どん底まで落ちてから何かをつかんだ人が大成する。人間とは、基本的にそういうものだと思います。
ビルコムは、皆さんの失敗を受け入れる土壌があります。ビルコムは、皆さんの挑戦を応援していく環境があります。だから、思いっきり生きて欲しい。思いっきり挑戦して欲しい。この世に生を受けてきたからには、失敗を恐れず、大志を抱き、社会に貢献していこう。その意思と努力を支える仲間がここにはいます。新生ビルコムを創り、これからの日本と世界を良くしていくのは皆さんなのです。
2013年4月1日 ビルコム株式会社 代表取締役兼CEO 太田滋
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この2年で規模も拡大して、やや大企業っぽいところが目に付くようになりました。今年の経営方針である「ビルコムWAYの回帰」を意識した結果、ベンチャー精神を改めて強化したいと思っています。
挑戦は成功も、失敗も生みますが、
その土壌と環境を整えることが経営者としての私の役割です。
13新卒の皆さん、一緒に頑張りましょう!
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