経営者をやりながら8年かけて博士号を取得した経験を10つのポイントにまとめました。
1. 査読が通らなければ意味がない
2. リジェクト経験値を高めよう
3. 修正リスト(List of alterations)を作る
4. 先行研究は主張を補強する根拠
5. RQ・データ・手法の一貫性はあるか
6. ツールを活用して効率化を図る
7. 博士課程はプロジェクトだ
8. 博士論文と学術論文は全く違う
9. 博士学位は人に与えられるもの
10. 博士学位の先にあるもの
社会人で博士課程に挑戦している方、これから博士課程に進学される方の一助となれば幸いです。
2019年11月23日土曜日
2019年11月20日水曜日
リーダーシップバリュー
このエントリーは2019年11月の社内報に寄稿したものです。
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2019年9月6日に開催された全社ワークショップを皮切りに、ビルコムにおけるリーダーシップの在り方を約2ヶ月かけて議論を重ねてきました。きっかけは、2019年度上半期の社員満足度調査の結果です。リーダーシップに関する項目が軒並み低かったのです。例えば、「チームや組織の連帯感」は4点満点中2.16点、「専門性を高める支援」は2.13点、「マネジメントの期待が明確で共感できる」は2.18点でした。評価制度の改定や、フレックスタイム制のコアタイム変更、福利厚生等のオフィス環境の整備といったハード的なことも重要ですが、今期の全社方針「人間中心の次世代PRエージェンシー」を目指すためには、そこで働く人間のソフト的な側面も強化しなければいけない、と感じた瞬間でした。
こうした問題意識をもって、9月6日の全社ワークショップでは、全社員で映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」を題材に、ビルコムで求められるリーダーシップについて約3時間にわたって議論しました。その後9月11日の夜に、部長以上の役職者10名で全社ワークショップにて発表された意見をもとに大枠の方針を決めました。こうしたプロセスを経て、働きがい強化部の部長から素案が私に提示され、その素案をもとに私の方で最終的なものを仕上げました。こうして完成したリーダーシップバリューが、1)分かち合うチカラ、2)変革するチカラ、3)士気高揚のチカラの3つです。
ビルコムで求められるリーダーシップに必要なことは、「組織内の信頼関係」、「変革の具現化」、「他者への積極的な関与」という3つではないかと思料したのです。3つのリーダーシップバリューに込めた想いを記します。
1)分かち合うチカラ
組織内の信頼関係を築くためには、自分の夢と、素直な気持ちを互いに語り合うことが必要だと考えました。働き方の多様化、効率性の追求といった世の中の流れをそのまま受けていくと、組織内のコミュニケーションは業務に関するタスクや報連相だけになってしまいます。そうすると、組織は徐々に殺伐としてきて、結果的にチームワークが機能せず非効率になっていきます。これを私は、合理の追求による非効率化と呼んでいます。そうならないために、リーダーは夢と感情を分かち合い、チーム内の人間的つながりを築くことが求められます。人間的つながりがあれば、他者視点の仕事になり、寛容さが生まれ、相互理解が進み、結果的に生産性が高まるのです。
2)変革するチカラ
このリーダーシップバリューには、現状維持がそもそも経営のリスクという前提があります。だからリーダーは変革を具現化しなければなりません。論を俟ちませんが、変革することがゴールではなく、どのように変革すればチームがよくなるのかを考えるのがリーダーの仕事です。変革の方向性を定めるには、外の世界を知る必要があります。外の世界を観察し、自分のチームが抱える諸問題の中から真の問題は何かを見つけます。問題提起だけでは何も変わりませんので、リーダーがコミットして、メンバーと共創しながら解決することで、変革を具現化していきます。
3)士気高揚のチカラ
リーダーは、人々が反応し、この人についていこうと思える人物であるべきです。それは生まれ持った性格や人徳といったことではなくて、社内で育成できる素養を規定したいと思いました。社内の多くの議論から、ビルコムのリーダーはトップダウン型では機能しないことが明らかになっていました。メンバーの考えや将来のありたい姿を傾聴する。傾聴した内容をただ聞き流すのではなく、励まし、承認することでモチベーションを高める。すなわち、リーダーは他人の人生の一部を背負っていることを自覚し、仲間の成長を、スキル的にも、人間的にも支援するといった価値観を持つことが大事ではないかと考えました。
リーダーシップバリューを決めた経緯と内容に込めた想いを綴りましたが、これ以外にも多くの意見が出ました。例えば、リーダーには真摯さや礼節、前向きさ、努力が必要といった意見です。しかし、それらは既に全社の行動指針「ビルゲン」で規定されていること、またビルコムの企業文化として包摂されていることから、あえて明記する必要はないという意見を尊重しました。
リーダーシップは必ず育成できる。そう信じています。3つのリーダーシップバリューは育成のためにあるものです。リーダーシップバリューは人間が持つ価値観なので外からは見えません。見えるのはリーダーシップバリューを体現する行動です。リーダーシップの体現度合いを自己・上長・360度で評価します。多面的に評価することで自己認識と他者認識のギャップを明らかにします。そして、ギャップを埋めるための育成プログラムを行います。この一連のプロセスを運用することで、はじめてリーダーシップバリューが活きるのだと思います。蛇足ですが、リーダーシップバリューを策定するにあたって特に参考にした文献は、「リーダーを目指す人の心得(コリン・パウエル著)」と、日本経済新聞の「私のリーダー論」です。
太田滋
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2019年9月6日に開催された全社ワークショップを皮切りに、ビルコムにおけるリーダーシップの在り方を約2ヶ月かけて議論を重ねてきました。きっかけは、2019年度上半期の社員満足度調査の結果です。リーダーシップに関する項目が軒並み低かったのです。例えば、「チームや組織の連帯感」は4点満点中2.16点、「専門性を高める支援」は2.13点、「マネジメントの期待が明確で共感できる」は2.18点でした。評価制度の改定や、フレックスタイム制のコアタイム変更、福利厚生等のオフィス環境の整備といったハード的なことも重要ですが、今期の全社方針「人間中心の次世代PRエージェンシー」を目指すためには、そこで働く人間のソフト的な側面も強化しなければいけない、と感じた瞬間でした。
こうした問題意識をもって、9月6日の全社ワークショップでは、全社員で映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」を題材に、ビルコムで求められるリーダーシップについて約3時間にわたって議論しました。その後9月11日の夜に、部長以上の役職者10名で全社ワークショップにて発表された意見をもとに大枠の方針を決めました。こうしたプロセスを経て、働きがい強化部の部長から素案が私に提示され、その素案をもとに私の方で最終的なものを仕上げました。こうして完成したリーダーシップバリューが、1)分かち合うチカラ、2)変革するチカラ、3)士気高揚のチカラの3つです。
ビルコムで求められるリーダーシップに必要なことは、「組織内の信頼関係」、「変革の具現化」、「他者への積極的な関与」という3つではないかと思料したのです。3つのリーダーシップバリューに込めた想いを記します。
1)分かち合うチカラ
組織内の信頼関係を築くためには、自分の夢と、素直な気持ちを互いに語り合うことが必要だと考えました。働き方の多様化、効率性の追求といった世の中の流れをそのまま受けていくと、組織内のコミュニケーションは業務に関するタスクや報連相だけになってしまいます。そうすると、組織は徐々に殺伐としてきて、結果的にチームワークが機能せず非効率になっていきます。これを私は、合理の追求による非効率化と呼んでいます。そうならないために、リーダーは夢と感情を分かち合い、チーム内の人間的つながりを築くことが求められます。人間的つながりがあれば、他者視点の仕事になり、寛容さが生まれ、相互理解が進み、結果的に生産性が高まるのです。
2)変革するチカラ
このリーダーシップバリューには、現状維持がそもそも経営のリスクという前提があります。だからリーダーは変革を具現化しなければなりません。論を俟ちませんが、変革することがゴールではなく、どのように変革すればチームがよくなるのかを考えるのがリーダーの仕事です。変革の方向性を定めるには、外の世界を知る必要があります。外の世界を観察し、自分のチームが抱える諸問題の中から真の問題は何かを見つけます。問題提起だけでは何も変わりませんので、リーダーがコミットして、メンバーと共創しながら解決することで、変革を具現化していきます。
3)士気高揚のチカラ
リーダーは、人々が反応し、この人についていこうと思える人物であるべきです。それは生まれ持った性格や人徳といったことではなくて、社内で育成できる素養を規定したいと思いました。社内の多くの議論から、ビルコムのリーダーはトップダウン型では機能しないことが明らかになっていました。メンバーの考えや将来のありたい姿を傾聴する。傾聴した内容をただ聞き流すのではなく、励まし、承認することでモチベーションを高める。すなわち、リーダーは他人の人生の一部を背負っていることを自覚し、仲間の成長を、スキル的にも、人間的にも支援するといった価値観を持つことが大事ではないかと考えました。
リーダーシップバリューを決めた経緯と内容に込めた想いを綴りましたが、これ以外にも多くの意見が出ました。例えば、リーダーには真摯さや礼節、前向きさ、努力が必要といった意見です。しかし、それらは既に全社の行動指針「ビルゲン」で規定されていること、またビルコムの企業文化として包摂されていることから、あえて明記する必要はないという意見を尊重しました。
リーダーシップは必ず育成できる。そう信じています。3つのリーダーシップバリューは育成のためにあるものです。リーダーシップバリューは人間が持つ価値観なので外からは見えません。見えるのはリーダーシップバリューを体現する行動です。リーダーシップの体現度合いを自己・上長・360度で評価します。多面的に評価することで自己認識と他者認識のギャップを明らかにします。そして、ギャップを埋めるための育成プログラムを行います。この一連のプロセスを運用することで、はじめてリーダーシップバリューが活きるのだと思います。蛇足ですが、リーダーシップバリューを策定するにあたって特に参考にした文献は、「リーダーを目指す人の心得(コリン・パウエル著)」と、日本経済新聞の「私のリーダー論」です。
太田滋
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