2013年9月23日月曜日

日本発のマーケティング


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三連休の最終日に読了した本「日本発のマーケティング」。先日開催されたJMAのセミナーでいただいたものです。












現在、慶應義塾大学商学部に属される清水聰教授の著書は、私がMBAでリサーチペーパーを執筆する際、主査から勧められて初めて読み、私が研究者の道へと進む契機となったものです。特に「新しい消費者行動」は、世界の研究を体系立てた消費者行動研究の原点のような貴重な一冊だと思います。

「日本発のマーケティング」はタイトルの通り、従来の米国を参考とした社会科学(主に心理学・経営学・マーケティング学)の”壁”を打ち破ろうという意思をひしひしと感じ取れる実務寄りの本です。

この問題意識は、私の実務(ビルコム)における非構造化データの多変量解析、そして学術(博士課程)における異文化マーケティング・国際的消費者行動の研究課題にも共鳴するもので、大変勉強になりました。

マーケティングは、企業・生活者の両視点から考察するべきものですが、得てしてその視点が混在すると、実務・学術両方において、何を目的として命題(研究課題)を立て、どのようなデータを用い、何を分析手法とするのかが破綻することが少なくありません。

本著は、これまでの消費者行動研究を礎としながらも、様々な実務的データを用いて、消費財を扱う企業の視点から「循環型コミュニケーション」なる新たなモデルを提示しています。具体的には、ELM(Elaboration Likelihood Model)とAISASの融合とも言えるでしょう。

少子高齢化、市場の成熟化、機能訴求の限界といった3つの大きな課題を突きつけられた日本市場において、マーケティングがどのような世界に向かうのか。それは、海外市場を開拓するという安易な発想ではなく、私は逆説的にガラパゴス型マーケティングに帰結すると感じています。

インターネットで消費行動が動かない日本、Hallが言う高コンテクスト文化である日本、Anonymousを好む日本(謙遜文化にも通ずる)といった市場特性を踏まえて、これからの「日本発マーケティング」を行動レベルで仮説検証していくしかありません。

その中心にあるのがPR・口コミである。
私はそう確信してなりません。

太田滋
ビルコム株式会社
http://www.bil.jp/

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