2016年6月22日水曜日

カンヌライオンズ2016 4日目速報レポート


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Cannes Lions 2016 Day4です。今日はエージェンシーのあり方について考えさせられた一日でした。映画「プラダを着た悪魔」のモデルとなった、かの有名なVOGUEの元編集長アナ・ウィンターのセッションに行かず、朝から別会場で開催されているLions Innovationに行ってきました。



アナ・ウィンターの裏番組でやっていたのはデジタルエージェンシーR/GAの「Disruption by Design」。おぉおおぉおお・・・動画でしかみたことがなかったCEOのBob Greenberg氏とCCOのNick Law氏がいる!


R/GAは1977年に創業。その後、時代に合わせて事業を変革してきました。創業期は映像制作を手掛け、1986年にデジタルスタジオ、1995年にインタラクティブ広告、2004年にデジタルエージェンシー(Agency for the digital age)、そして現在はIoT時代におけるデジタルエージェンシー(Agency for the connected age)と変遷しています。

最近の作品を3つご紹介:


Powerbeats2 Wireless | Beats by Dre


NIKE+ Pace Station
https://www.rga.com/work/case-studies/pace-station

Straight Outta(昨日のDirect部門でゴールドを受賞)
https://www.rga.com/work/case-studies/straight-outta

R/GAの現在の事業は3つ:1)コミュニケーション(エージェンシーモデル)、2)商品・サービス開発支援(投資も含むイノベーション支援)、3)事業変革コンサルティング。投資はFinancial Capitalではなく、Creative Capitalを投資することでアクセラレーター事業を推進しているという点が印象的でした。




こうしてみると、1977年から時代に呼応して事業を変革してきたことがわかります。2022年を目指してR/GAは、Agency for the age of intelligenceを目指しているとのことで、機械学習、画像・音声認識、ChatbotなどのAI関連に取組んでいるとのこと。




続いてオムニコムグループのエージェンシーDDB。R/GAと同様の内容でした。北米CEOのWendy Clark氏が”Agency model has been disruptive”と表現していたように従来のエージェンシーのあり方を変えなければならないという危機感をあらわにしていました。

DDBのセッションでは、このような説明がされていました。クライアントが置かれている市場環境は非常に競争が激しくなっており、事業スピードをいかに早くするかが成否を決める鍵となっている。そのような中で、クライアントがエージェンシーにブリーフィングして、エージェンシーが提案・プレゼンというあり方が自体が時代に合っていないと。





DDBとしては、「DDB FLEX」というコンセプトで1)広告や制作といったケイパビリティを統合していくこと(Cross capabilities)、2)オムニコムグループ以外のエージェンシーとも協業していくこと(Other agencies)、3)ソーシャルメディアプラットフォームも含めたメディアとのプランニングを強めていくこと(Media partners)、4)商品開発も含めたクライアントのマーケティングパートナーになること(Marketing partners)、5)RFP→提案という形ではなくプランニング段階からクライアントを巻き込むこと(Clients)という5つを実践しているとのことでした。




一言でいえば「コラボレーションだ」と。他エージェンシーとのコラボレーション、メディアとのコラボレーション、クライアントとのコラボレーション。そして、コラボレーションしていくためには、テクニカルスキルだけではなく、人間性(humanity)を重視していくと。これは採用基準にも関わってくる話です。スライドにもあるウィリアム・バーンバック氏の”There were two requirements: You had to be talented and you had to be nice.”という言葉が沁みますね。企画だけでなく、明るく前向き素直でいい人。





エージェンシーモデルの変革が大きなテーマになっているのは、私も日々の現場で実感しているところです。クライアントと一緒になってプランニングしていくのはもはや当たり前で、広告やPRといったコミュニケーション、コンテンツ制作といった単一機能が求められることは少なく、ソーシャルメディアやインフルエンサーも含めた統合的なコンテンツ・マス・デジタルな戦略〜企画〜実行までのコミュニケーションサービス提供が増えています。クライアントの事業・利益に貢献する役割を果たすエージェンシーが求められています。もはや、自社だけで完結する仕事は非常に少なくなっており、パートナー会社さんとの協業なくしてサービス提供は考えられません。予算をヒアリングして提案ではなく、お客様の事業のP/Lをみながら予算配分まで考えるといったことも普通になってきました。その中で自社をどう差別化していくのか?私はデータと人材しかないかなと思っています。

夜は下記の部門の受賞セレモニーがありました。

・Outdoor Lions
・Creative Effectiveness Lions
・PR Lions
・Design Lions
・Product Design Lions
・Digital Craft Lions
・Design Young Lions Awards
・PR Young Lions Awards

昨日に続き、ゴールド・グランプリ受賞作品の中で気になったものをご紹介します。

Jaguar creates ‘Actual Reality’ prank
VRではなくARでブランド体験


MONTY'S CHRISTMAS

クリエイティブの力でデパートの売上を上げた


Heineken | The Dilemma

ハイネケンらしいキャンペーン


Swedish house designed by 2 million people

200万人のデータから生み出す家のデザイン



The Organic Effect
伝えにくいことをデータで可視化することで証明



Behind the Leather
見えなかったものを見せることで行動を変える



Smellcome To Manhood


Life is electric
無機質なものを情緒的価値に



The Zero Electricity Air Cooler - Eco Cooler
シンプルなアイディアで生活を変える



Chrome Music Lab
手で触る音楽。知覚のリアリティ



The Next Rembrandt
新設されたデジタルクラフト部門のData Visualizationで受賞しました


ANZ #EqualFuture - Pocket Money
Controversialなテーマ



SK-II: Marriage Market Takeover
こちらもControversialなテーマです


おまけ:Will SmithとUsherのセッションもありました!





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