以下は式辞で述べた原文です。
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2020年4月1日
2020年度 新卒入社式 式辞
ビルコム株式会社
代表取締役兼CEO 太田滋
皆さん、入社おめでとうございます。人類はいま、新型コロナウイルスの脅威にさらされています。世界を覆う都市封鎖、人の移動制限、世界貿易の縮小、金融市場の不安定性、医療崩壊が立て続けに発生しています。皆さんは、このような極めて特異な状況下でビルコムに入社されました。本日の入社式で皆さんを全員で迎えたかったのですが、大半の社員がビデオ会議で参加することをご寛恕ください。4名の皆さんをビルコムの仲間として迎えることができ、社を代表して皆さんの入社を心より歓迎いたします。世界的な危機に直面している中、式辞として「平常心」について述べたいと思います。
学生から社会人になると感情の揺らぎがこれまで以上に大きくなります。仕事とは、相手に価値を提供して感謝と対価を得ることです。その過程には、努力があり、助け合いがあり、良い意味でのプレッシャー、そして成功と失敗両方の経験を積むことになります。常にうまくいった、ということはほとんどなく、自省と成長の繰り返しです。計画を作ったものの、想定外のことが起こり、軌道を修正し、それでもミッションを達成するために行動し続ける。良いときもあれば悪いときもある。こうした感情の揺らぎに対して必要なことは「平常心を保ち続ける」ことです。どんなことがあっても、信念を貫く力が必要です。
では、平常心を保ち続けるためにどうすればいいのでしょうか。それは、目の前にある、自分にしかできないことを毎日やり続けることです。周囲の雑音に気を取られることなく、小さな行動の積み重ねが大きな未来を創るのです。先日、皆さんの先輩である2017年新卒入社の社員から「新規事業について相談したい」と言われて、食事に誘いました。志あるスタートアップのPRを支援したい。しかし、スタートアップはお金が潤沢にない。お金という対価に囚われずに支援する新たな事業を始められないか、という内容でした。私の判断は「すぐに実行しよう」でした。2003年から17年間、経営トップを務めてきた経験から、行動しなければ見えてこないものがあると知っているからです。新しいアイディアや新規事業は一朝一夕には出てきません。その社員が見せてくれたA4のノートには5ページ以上に亘り、新規事業に関する理念や構想の手書きメモがびっしりと書かれていました。平常心を保ち、目の前にあることをやり続けることで新たな視座が広がります。私は皆さんに、入社1年目、3年目、5年目の節目に「平常心を保ち続けられましたか?」と自問することを求めます。
現下の情勢でも同じことがいえるのではないでしょうか。確かに今は先が見えない状況です。しかし、出口のないトンネルはありません。毎日入ってくる暗いニュースや評論に惑わされることなく、平常心を保ち、自分にしかできない目の前にあることをコツコツとやり続ける。こうした毎日の積み重ねが、企業と社会の持続的成長に貢献する最善の行動だと確信しています。今日から皆さんは、ビルコムの一員であるとともに、自身の言動に責任が生じるプロフェッショナルでもあります。成功したな、良かったなと思ったときは奢りと昂りに気をつけ、失敗して辛いな、苦しいなと思ったときはその想いを仲間に分かち合い、連帯感を糧に前を向いて乗り越えてください。そして、ビルコムのビジョン「世界をより感動できる社会にする」をともに実現してまいりましょう。データとデジタルで新しい価値を生み出すビルコムへの入社を心からお祝いいたします。本日は誠におめでとうございます。
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